建築学科ごっこ

せめて、建築学科生のふりはしていたいから

建築学科生のための2次元CAD・3次元CAD紹介|徹底比較とその選び方

物体の形状や寸法といった情報を、正確かつ客観的に他者に伝える表現方法として図面が挙げられます。

 

図面には平面図、断面図等さまざまな種類が存在します。

そしてこうした図面を作図するには、漫画家やデザイナーや写真家が利用するグラフィックソフトとは全く異なる専用のソフトウェアが必要となります。




そこで登場するのが、CADと呼ばれるソフトウェアです。

CADとは、設計・製図特化したグラフィックソフトです。



 

CADソフトが登場するまではペンと定規で描いていた図面ですが、ここ十数年のデジタル技術の向上により家庭用パソコンでも、学生でも扱えるCADソフトが増えてきました。

 

大学や専門学校によってCADに対するスタンスは大きく異なり、入学当初から、CADの扱いを教えてくれる所、3年生位から教えてくれる所、3年位から使用許可が出る所(勉強は自分で)、卒業まで手描き作図を推奨している所など様々です。

また一口にCADと言ってもその種類や機能は様々です。

そのため、各学校はもちろん、各設計アトリエやゼネコンによって使っているソフトがまちまちです。



そのため、建築を学ぶ学生にとって、いつから・どのCADを勉強するかは大きな悩みのタネです。

この記事は、こうしたソフトの特徴や機能を比較しつつ、あなたがCADを選ぶ手引きを様々な観点から試みるものです。

 

 

はじめに

CADを選ぶポイントとして、下記の点が挙げられます。

 

①価格

②機能

③シェア

 

上記の詳しい内容については記事最後にまとめて紹介するとして、まずは代表的な建築学科でもちいられる各種CADの紹介から初めたいと思います。

 

 

1.無料ソフト

1-1.Jw_cad(開発:Jiro Shimizu Yoshifumi Tanaka)

 

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価格:無料
機能:2次元CAD
シェア:施工・設備・土木を中心により現場に近い業界で愛用されている。「非建築家・非設計士だがCADも使いたい」という人たちの要望に答える存在。マウス操作の扱いに癖があり、使い方に慣れるまでは混乱するが、教本や解説動画が豊富で入手しやすく、とりあえず学び始めるならコレ。
ダウンロード先:Jw_cad

 

 

おすすめ書籍:

 

1-2.SketchUp(開発:Trimble Navigation Limitedなど)

 

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価格(無料版 ) :無料

価格(Pro版):127,440円(追加機能多数)

機能:3次元CG

シェア:最も手軽な3次元モデリング作成ソフト。建築だけでなくインテリア・映像作品・漫画の背景にいたるまで使われている。同じく無料のJwcadと併用して使う学生が多い。

あくまで3次元CADではなく3DCGソフトなので、図面からモデルを立ち上げたり、モデルから図面を書き起こすなどはできない。有料版ではCADで描いた図面を取り込むことができるなど複数機能追加。

公式サイト: SketchUp 日本語公式HPはこちら

 

おすすめ書籍:

 

2.Autodesk社

2-1.AutoCAD

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価格(学生用):無料

価格(LT版):月7,560円/年50,976円(2次元CAD機能のみ)

価格(通常版):月25,920円/年205,200円(3次元CAD機能あり)

機能:2次元CAD/3次元CAD

シェア:大手設計事務所やゼネコンなど、組織系の業界で愛用されている。世界でもっとも幅広く利用されており、教本・解説動画も多いが、工業用も意識した汎用CADのため、建築設計に特化した書籍はやや少なめ。今話題のBIMではない。

ちなみに3次元CAD機能のないLT版、3次元CAD機能のある学生用無料版もある。

公式サイト: AutoCAD

 

おすすめ書籍:

 

 

2-2.3ds MAX

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価格(学生版):無料

価格(通常版):月32,400円/年254,880円

機能:3次元CG

シェア:AutoCADと併用して利用されることの多い3次元グラフィックソフト。やはり大手設計事務所で利用されている。

豊富なプラグインとサポートネットワークが特徴だが、AutoCAD同様必ずしも建築設計に特化した内容ではない点に注意。

公式サイト:3ds MAX

 

おすすめ書籍:

 

2-3.Revit

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価格(学生版):無料

価格(通常版):月47,520円/年381,240円

機能:BIM

シェア:AutoCADと同じくAutodesk社が販売するBIMソフト。

前述のAutoCADや3dsMAXとは全く異なる思想で開発されており、かならずしも相性がいいというわけではない。そのため、AutoCADとRevitを併用している企業はおそらく少数派。

公式サイト:Revit

 

おすすめ書籍:



3.グラフィソフト社

3-1.ArchiCAD

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価格(学生版  ):無料

価格(solo版):345,000円+追加料金

機能:BIM

シェア:日本国内でのシェアは大きくないが、直感的なUIでBIMの入門ソフトとして大きく貢献している。また、大規模なプロジェクトを手がける分野での導入も増えている。

個人で扱うsolo版に加え、複数人数での協同作業機能が豊富な通常版もある。

公式サイト:ArchiCAD

 

おすすめ書籍:



4.A&A株式会社

4-1.VectorWorks architect

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価格(OASIS学生版):10,000円(加盟校学生のみのコース)

価格(通常学生版):20,000円

価格(スタンドアロン版):416,000円

機能:2次元CAD/3次元CAD

シェア:アトリエ設計事務所やインテリア業界など、デザイン性が重視される領域で愛用されているため、この手の求人募集では使えることが必須であることも多い。他のCADソフトとの連携が低く、データの受け渡しに一手間必要。

公式サイト:VectorWorks architect

おすすめ書籍: 



5.Robert McNeel & Associates

5-1.Rhinoceros 3D

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価格(体験版):無料(90日間)

価格(学生非バンドル版):36,000円

価格(学生バンドル版):90,000円

価格(通常版):144,000円

機能:3次元CAD

シェア:最近勢力を伸ばしている、今最も熱い3次元CAD。15万円と比較的低価格だが、その分無料版はない。自由曲面の造形に優れ、滑らかで有機的・数学的なモデリングに真価を発揮する。プログラミング言語であるPythonと連携し、パラメトリックに設計することも可能。

バンドル版を選択すれば、レンダリングソフトFlamingoなど追加パッケージが付く。

公式サイト: Rhinoceros 3D

 

おすすめ書籍:

5-2.Grasshopper

 

かつてはRhinocerosのプラグインという形で別ダウンロードが必要だったが、Windows版Rhino 6以降標準搭載されるようになった機能。ビジュアル系プログラミング言語と呼ばれる機能であり、パラメトリックなモデリングが得意。



 

 

 

 

 

 

それぞれのソフトの作図感覚を図画工作で例えるなら

  • Jw_cadAutoCAD:色鉛筆やクレヨンのように線で表現・作図する
  • VectorWorks :切り紙貼り紙のように面で表現・作図する
  • ArchiCADRevit:積み木のように立体の組み合わせで表現・作成する
  • SketchUp3ds MAX:粘土のように立体の変形で表現・作成する
  • Rhinoceros:プログラミングと数学による造形

のような感覚だと思います。

 

その他Metasequoia、Form Zなど様々なソフトがありますが、シェアや学習のしやすさ(書籍・解説ホームページの量)から言えば、建築学科生向けcadとしては上記ソフトウェアが有力候補と考えていいと思います。

 

 

 

 

ソフトの選び方

一通りのソフト紹介を終えたところで、CAD選びのポイントや前提知識を整理しましょう。 

 

CADを選ぶポイントとして、下記の点が挙げられます。

 

①価格

②機能

③シェア

 

 

 

①価格

一般的に専門性の高いソフトウェアは開発費用を取り戻すために数十万~数百万という高額になることが多く、それは建築用CADソフトでも同じことです。

しかしソフトの中には、一定期間無償もしくは比較的低価格で利用できる学生版を販売・配布している物もあります。

 

 

 

②機能

第一に、図面を使う職業は工業・造船・土木と建築以外にも無数に存在します。

そのためCAD選びには、まずそのソフトが建築設計に適したソフトであることが前提となります。

(このブログで紹介するソフトは、建築業界のとくに意匠設計分野で比較的利用されているソフトウェアです。)

 
第二に、一口にCADソフトといえども、2次元CADと3次元CAD、BIM、あるいは3次元CGソフトなど、その機能によって複数の分類があります。

 

 ●2次元CADと3次元CAD

2次元CADと3次元CADはその名の通り、立体的にモデリングできるかできないかの違いです。

例えば一階平面図・二階平面図・断面図の3枚を描く時、2次元CADは合計3回図面を引く必要があります。

しかし3次元CADの場合、PC内で建物の3D模型を作成してしまえば、クリックひとつで一気に3つの図面を作図することができます。

 

あるいは壁の厚みを買えたいと思った時、2次元CADの場合すべての図面の該当箇所を手入力で修正する必要がありますが、3次元CADの場合3Dモデルのみを修正すれば、自動的に他の図面の該当箇所が同期して修正されます。

このため、大幅な作業時間の短縮ができるだけでなく、複数の図面の整合性が取れていないなどのミスが極めて起こりにくくなるなどたくさんのメリットがあります。

 

 



●BIMソフト

さらに、この3次元モデルに材質や断熱効果や費用など様々な要素を複合的に与えられるソフトがBIMです。

3次元CADの場合、建築に使用している建具も構造体も外壁も基本的には同じ材質です。

そのため、表面的に色やテクスチャを変えることは可能ですが、3次元CADで作成したモデルで厳密な構造・環境シミュレーションを行ったり、建材の費用を見積もることはできません。

 

しかし、一つ一つの材質や耐久力を定義した建築モデルがあれば、こうした構造・設備・施工に関する厳密なシミュレーションを行うことが可能となります。(学生レベルでそこまでデキる人は稀ですが……)

このような発想で作られたのがBIMと呼ばれるソフトです。



●3次元CGソフト

 逆に、3次元のモデリングこそできるものの、シミュレーションやビジュアライゼーションはおろか、図面かもできない、単に見た目の造形のみ行うソフトが3次元CGソフトです。

これは、漫画家やアニメーターがキャラクターや背景をモデリングしたり、イベントプランナーが会場のイメージを作ったりする際に利用するなど、その用途が幅広いものを建築に流用している形になります。

厳密にはⅡ.設計のためのソフトというよりは、Ⅲ.発表のためのソフトですが、解説の便宜上こちらでも紹介します。




(ちなみに3Dパースのリアリティや質感・光と影の具合はCADソフトではなくレンダリングソフトと呼ばれるソフトの性能差、あるいはPhotoshopによる加工技術の差によるものです。

無料のソフトはチープなモデリングしか出来ず、高価なソフトなら繊細で美しいパースが書けるというわけではありません)



 




 

③.シェア

前項で紹介したような機能の差異は、そのままそのソフトウェアがどの業界で利用されているかに直結します。

 

例えば、大手ゼネコンでよく利用されているソフトと、海外の小規模な設計事務所で愛用されているソフトは全く違うものです。

大学ごとに必修となっているCADが異なっていたり、自社専用のCADソフトを開発しているケースもあったりと、環境ごとに利用されているCADには大きな違いがあります。

当然求人募集を行う場合、その学生が自社で利用しているソフトを習得しているかどうかは、雇う側としては大きな勘案要因となります。

 

そのため、志望している建築業界がある程度定まっている場合には、その業界で利用されているCADソフトを選ぶことも一つの戦略となってきます。




ただし、設計を本職とする場合、複数のCADソフトを使い分けることが普通です。

また、新しいソフトウェアがあなたの入学後に勢力をのばし初め、業界必須のスキルになることも十分に考えられます。

 

そのため、「一番シェアを集めているソフトを学べばいい」という発想でソフトを選ぶことはあまり推奨できる姿勢ではありません。

 

それよりもCAD選びで大切なのは、「今の自分にとって目的に沿ったソフト」を選ぶこと、そして「常に新しい知識を得ることを恐れないこと」の二点です。

 

 
建築設計は一つのCADソフトで完結するようなものではなく、状況や環境に応じて必要なソフトがコロコロと変わるものです。

そのため、どのソフトにするか迷って勉強が遅れるくらいであれば、まずは無料でかつ教本の豊富なJw_cadを触ってみることをおすすめします。

相棒となるCADを探すのは、一度CADというものの実態を掴んでからでも遅くはないからです。

 

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独断と偏見に基づくCAD・BIMソフト勢力図

 

 

 

 

 

▼イラレ・フォトショ・各種CAD 建築学科生向けソフトの一覧はこちら

www.gakka-gokko.com