建築学科ごっこ

せめて、建築学科生のふりはしていたいから

Q. 建築学生におすすめのPCを教えてください。

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A.残念ながら、ブログで紹介するのは無理。

 

当たり前の話だが、この記事を執筆している2019年3月時点の最新おすすめモデルは、時間の経過とともに「型落ち品」になっていく。

この記事執筆時に優秀だったパソコンが、この記事をあなたが読んでいる時点でも優秀である可能性は極めて低い。

 

 

 

そのため極めて遺憾ながら、自力でPCの基本知識を学び選択するか、信頼できる人に直接相談してから購入することを、この記事では強く推奨する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

PCスペックの基本知識

PC選びの第一歩は「CPU(プロセッサー)」「RAM(メモリ)」の仕様である。
それぞれの単語で検索すれば、解説のサイトはたくさん出てくるので詳細は省く。

厳密な言葉の定義も省略。

 

 

有名な比喩表現に、PCを人間の頭脳労働に例えたもの(「CPU=考える人のかしこさ」「メモリ=作業する机の広さ」)があるが、おおむねこの認識いれば間違いはない。

作業する人(=CPU)が優秀なほど、作業は早く進むし、机の面積(=メモリ)が広いほど作業は効率的になる。

 

 

そして当然、それぞれの数値の高低以上にバランスが重要である。

一方のスペックが卓越していても、残りの一つの性能が乏しければ本来の力は発揮できない。

 

またこの2つの共通点として、PC購入後に後付で強化・増設することが困難な要素でもある。

 

 

 

 


よって、PC選びの第一条件はこの2つのデータを軸とした比較である。

 

だが、初心者にとって問題なのは、それぞれの数値が高いのか低いのか、価格に対して妥当なのか、把握できない点であろう。

あるいは、そのスペックで十分求める操作に対応できる性能を持っているのか、判断する方法がないという点である。

 

例えば建築学科生が利用するソフトウェアの代表例として、

  • Illustrator/InDesign(2018)
  • Jw_cad(2017)
  • AutoCAD(2018)
  • ArchiCAD(2018)

があるが、メーカーが推奨するCPUとメモリのスペックは、それぞれ下記の通りである。

 

○Illustrator/InDesign

CPU :マルチコア推奨

メモリ :4GB以上(16GB以上推奨)

 

○Jw_cad

CPU :Intel Core i5 2GHz以上

メモリ :4GB

 

○AutoCAD

CPU :1GHz以上

メモリ :4GB以上(8GB以上推奨)

 

○ArchiCAD

CPU :4コア以上必須

メモリ :16GB以上(32GB以上推奨)

 

 

初心者はこれだけ見てもしっくりこないし、価格がイメージしづらい。

特に「推奨」という言葉が、初心者の不安を加速させる。

(結論から言えば、いずれも[CPU:Intel Core i5 マルチコア][メモリ:8GB]以上のスペックがないと活用は苦しいと思う。)

 

そこで、具体的にこの数字の意味を理解するために、アップル社のノートパソコンで比較してみよう。
建築学科にアップル社製品所有者が多いからではない。次々と新型機種が発表されるPC業界において、アップル社のPCはその時期のスペックと価格の相場を推し量る一つの指標となるからだ。

 


MacBook Airの仕様(予算10万円~15万円で)

2019年現在アップル社が出しているノートパソコンのうち、最も価格が低いのは「MacBook Airの13インチ(非Retinaディスプレイ)」の98,800円である。

日本の大学生がもらえる入学祝い金の相場は、上限が10万円だということからも、10万円はPC購入における予算の目安の一つとなるだろう。

▼公式HP

www.apple.com

 

 

[スペック]

CPU :1.8GHzデュアルコア Inter Core i5

メモリ :8GB

価格 :98,800円(非Retinaディスプレイ)

 

 

MacBook Airは、省電力・軽量・コンパクトが特徴の「世界最薄のノートブック」をコンセプトとしたノートパソコンである。

(小脇に抱えた封筒からMacBook Airを取り出したジョブズのプレゼンはあまりに有名である)

専門性の高い処理作業ではなく、一般的なコンピューター利用を想定したとされるスペックであるが、Illustratorでプレゼンボードを作成したり、2DCADで図面を作成する程度の作業には十分耐えうる性能を持つ。

(残念ながら2018年末のAdobe製品のアップデートに伴い、Illustrator/InDesignの推奨スペックが引き上げられたことを受け、このスペックではややパワー不足となりつつある。)

 

ともあれ、学部生レベルの設計課題には十分対応できるだろう。初めてPCを買うというのであれば、これ以上のスペックは宝の持ち腐れとなる可能性が高い。

 

 

 アマゾンでは2019年3月時点では、Retinaディスプレイ・Touch ID搭載のものしか販売を確認できなかった

中古を除けば、これがアマゾンにおけるMacBook Airの最安機種だと思われる。

 

 


MacBook Proの仕様(予算15万円~20万円)

だがMacBook Airでは、三次元CADやBIMによるモデリングに対する動作や快適性あまり保証できない。

そこで上位機種として、同じくアップル社の「MacBook Pro13インチ」を見てみよう。非カスタマイズ時の最安機種は下記の通り。

 

▼公式サイト

www.apple.com

 

[スペック]

CPU :2.3GHzデュアルコア Inter Core i5

メモリ :8GB

価格 :142,800円

 

 

前述のIllustrator・CADソフトが要求する推奨スペックと比較してみると、少し心もとない。

Touch BarやTouch IDなどハード面でのオプションは捨て、ストレージは外付けHDDなどを併用するなど工夫で乗り切るとし、代わりにCPUでInter Core i7、メモリで16GB積むようにアップグレードすると、以下の通りになる。

 

[スペック]

CPU :2.5GHzデュアルコア Inter Core i7

メモリ :16GB

価格 :197,800円

 


20万円に迫る価格となった。

このくらいのパワーのあるマシンであれば、複数のソフトを起動しながらでも、かなり快適に作業を進められるだろう。

 

ただし学生にとっては、価格面でも、スペック面でも、このあたりが上限値であろう。

これ以上の金額をPCに出せる学生は少数派だろうし、このスペック以上のパワーが要求されるほどの学生は更に少数派だ。

 

複数のソフトを起動しないし、卒業設計日本一クラスの複雑で大規模な3次元モデルの設計をやるわけでもないというのであれば、ここまでのスペックは必要ない。

 

 ▼アマゾン

 アマゾンでの購入ならこちら。

しかし、公式サイトでの購入のほうが、必要な機能をカスタマイズできるので多分お得。

勉強の意味でも、自分でスペックを選びながら買うことをおすすめする。

 

 

 

 

 


その他スペック

さて、CPUとメモリだけがパソコンの性能や価格を決定するわけではない。

ソフト・ハード面ともに、様々な点を考慮する必要がある。

HDD/SSD(ストレージ)記憶容量。

USBやメモリーカードのようなものが、パソコン本体にも内蔵されていると考えればわかりやすいと思う。

ダウンロードしたソフトウェアやデータが保管される箇所である。

 

読み込み・書き込みの速度が早いほど、

空き容量が多いほど、

CPUの機能を発揮できる。

 

そのため、余裕をもたせたほうが処理速度は上る。

ただし、あとから外付けで増設できるので、優先度は低い。

 

 

ちなみに、MacBook Air・MacBook Proでは128GB~1TBの範囲のSSDが内蔵されている。

 

 

GPU(グラフィックチップ)

画像処理に特化したCPUのようなもの。

高精細なゲームや複雑な三次元モデリングを行う場合に、CPUの働きを補助するためにつけられる。

使うソフトによって推奨環境がかなり変わるので、使う予定のソフトが決まっているのであれば、そのソフトの要求スペックを確認してから購入するのが無難である。

 


画面サイズ

持ち運びを考えれば小さい画面が有利だし、作業効率を考えれば大きい画面が有利である。

13インチが作業できる限界の小ささ、17インチが持ち運びできる限界の大きさであろう。

 

カフェや大学で作業する前提で小型のノートPCを購入し、自宅では別途購入した大きいディスプレイに接続して2画面で作業するという方法もある。

 

オフィスソフト

WindowsのPCを購入した場合、Officeソフト(WordやEXCEL、PowerPointなど)の有無によって値段が大きく変わる。

 

Googleが無料で公開している「Googleドキュメント」「Googleスプレッドシート」「Googleスライド」で十分代用できるという理由から、オフィスソフトは買う必要がないというのが筆者の考え。

 


wifi・光学ドライブ(DVDを読み込む機能)

これらを内蔵しないほど、PCは軽く・安くなる。

いずれも必要なときだけ別途購入してあとから外付けできるものばかりなので、予算と相談して必要な機能以外は省略したほうがいいかもしれない。

 

ちなみにMacは、標準でwifiは搭載されているが、光学ドライブは付属していないのが基本。

 

 

 

 

正直なところ、

 

PCの高性能化・低価格化競争の中で、同じ価格帯のマシンであれば、どのマシンもほとんど差異はない。

最低限押さえておきたいスペックだけを列挙しておき、その条件を満たすPC候補を3-5くらいピックアップすれば、あとはその中でもっとも好みのデザインの機種を選べばそれでいいと思う。

 

本記事では、わかりやすさのためにMacを度々流用したが、これはMacを買えという意味では断じてない。

(そもそも筆者はMacを持っていない。)

 

実のところ、表面の光沢や丈夫さ、本体重量、カラーリング、キーボードの配置など性能とほとんど関係ないポイントが最終的なPC選びの根拠となることも多いと思う。

 

 

 

 

 

 

 

問題はその「最低限押さえておきたいスペック」がなんなのかである。残念ながらこれは、人や目的や時代によって異なる。

 

このブログは不特定多数の人が読んでいる。

ざっと考えてみても

  • あなたの学年
  • あなたの専攻
  • あなたの予算

によって、おすすめしたいPCの性能は変わってくる。

 


あなたの学年

パソコンは購入した時が最も性能がよく、使用し続けることによって劣化していく。

一般に、3-4年程度が寿命とされており、これを越えて使用し続けると動作が重くなったり、故障のリスクが高まっていく。


故に、入学時にハイスペックなPCを購入するのはあまり賢明な選択とは言えない。

ほとんどPCを使わない1回生の頃にもっとも馬力の出る時期があたり、反対にPCスペックが要求される卒業制作の時期にPCの寿命を迎えることになるからだ。

 

それならば、一回生の頃は安いPCでレポート提出やCADでの作図・印刷をしのぎ、3回生から高スペックなPCを導入するほうがずっと戦略的だ。

 

 

もちろんこれは、1回生のころは座学中心で課題が出ないカリキュラムの学校の話である。

一回生の頃から3DCADを扱わせる大学もある以上、この戦略は常に採用できるわけではない。

 

また、やる気のある学生ならば、カリキュラムにこだわらず一回生のころからIllustratorやCADソフトを使った自主制作に取り組むだろう。

その場合、ケチって安いPCを使うより、最初からある程度のスペックを持つPCを入学祝いに買ってもらったほうが成長できる。

 


あなたの専攻

三回生でPCを買い換えることの戦略的メリットはもう一つある。

この時期は専攻を決める時期であり、学生によってその後の活動が大きく変わる時期でもあるからだ。

 

計画・歴史系ゼミで論文を書くならば、ワードとエクセル、インターネットが使えれば十分かもしれない。

本格的な論文であったとしても、InDesignやIllustratorでさほど大きくないデータを扱うだけであろう。

かと思えば、都市のビッグデータを活用した解析を行うゼミというものが荒れば、あまり安いPCでは太刀打ちできなくなる。

 

設計ゼミで設計するなら、一通りのAdobe製品を初め、BIMソフトのモデリングやレンダリングに耐えうるCPUやメモリ・グラフィックボードが要求されるかもしれない。

かと思えば、今どき手書き製図にこだわる硬派でアーティスティックな研究室もある。

 

構造・設備系ゼミで実験に明け暮れるならば、一般向けではない専用のソフトやプログラミングが必要になるケースが多い。

Macには対応していないソフトのケースも多いので、その場合はWindowsのPCが必須となるだろう。

大規模建築物の構造・環境シュミレーションを行うならば、設計ゼミ以上のスペックが求められるかもしれない。

 

 

 

 

ようするに、所属する研究室の教授に聞かなければPCも選べないということだ。

その意味においても、入学時にPCを選ぶのであれば、3回生のこの時期にPCを書い直すことを前提に購入したほうがいいだろう。

 

 

あなたの予算

この戦略は、3回生の頃に新しいPCを変えるだけの資金を貯めれることが前提だ。


たとえば前述のアップル社のMacBook Airは、最低スペックのもので10万円程度である。

これは建築学科生がもつPCのスペックや価格帯としてはけして高すぎるということはない。

むしろ、クリエイターとしては最低限確保したい要求レベルですらある。

Adobe製品やCADソフト、Google Chromeを並行して起動しながら快適に作業を進めようとしたら、どうしたって予算は15万・20万と膨れ上がっていく。


しかし、10万以上する買い物を、4年のうちにそう何度も繰り返せないという人も少なくはないだろう

。バイトで稼いだ金で生活費と学費を払っているような人にとっては、5万円のPCすら購入は困難かもしれない。

そういう場合は、PCに頼らず成果を出す戦い方や、奨学金・バイト・コンペ・クラウドワークスなど、何かしらの手段でまとまった資金を確保する方法を模索する必要が出てくる。

 

 

 

 

 


こうした多様なニーズを想定しながら書くと、どうしても話が抽象的になる。

なにせあなたのカリキュラムや予算や学習意欲に応じて、求められるPCスペックはもちろん、購入時期さえ検討の対象となるからだ。


まずはあなたが今後1~2年の間に、PCで何をしたいのかを明確にする必要がある。

先輩に聞くなり、カリキュラムを確認するなり、生協のPC案内を調べるなり手段はいくらでもある。

特に大学の生協が春休み中の営業時間を確認して、相談しに行くのが一番手っ取り早く確実だ。

(大学は入学希望者・入学予定者の見学を拒否するほど閉鎖的ではない。)


より向学心のある学生であれば、春休みのうちから一通りのPCソフトの使い方を覚えることも可能だろう。

その場合、カリキュラムに関係なく、覚えたいPCソフトの推奨スペックをネットで確認し、それを満たすPCを選べばいい。

 

 

 

こうして、PC購入の目的と要求される性能の調査が終われば、あとは予算の範囲内で選択肢を複数ピックアップし、好みのデザインやメーカーのものを選べばいい。
前述のとおり、同じ価格帯のPCであれば、性能面で決定的な差異が生じることは稀である。

(特に初心者にとっては)

 

似たようなPCの僅かな価格差や性能差に時間をかけて悩むのは無駄なので、とっとと好みのPCを購入し、一日も早く操作に慣れたほうが生産的である。

 

 

 

 

 

PCの決め方 まとめ

 

  1. まず大学のカリキュラムや勉強したい内容に応じて、今後数年間のPC利用をイメージする。
  2. つぎに、その予算で購入できるPCを探し、性能を比較する。
    最重要はCPU(プロセッサー)とRAM(メモリ)。
  3. 妥協できない部分、優先度の高い部分を見極め、選択肢を絞る。
  4. 最後の最後は、デザインや好みで決める。(同じ価格帯ならそうハズレはない!)

 

 

以上。

あなたが素晴らしい相棒を見つけられることを祈る。