建築学科ごっこ

せめて、建築学科生のふりはしていたいから

建築設計課題を7日間で終わらせる方法

今回は

「評価も成績もいらない。設計課題を最短で終わらせる方法が知りたい!」

という方のための方法論を書く。

(今のところ、これほどブログタイトルに即した記事は他にない。)

 

 

無論、設計ゼミに進んだ4回生にこんな低いモチベーションの人は居ない。

よって、1-3回生前期の学生で、早くも自分の進路選択に絶望を感じ始めた人あたりが、本記事の対象読者層であろうか?

 

 

 

「空間の本質とはなにか?」

「よりよい社会のために建築家はなにができるか?」

「いかにクリティカルな問いを立てられるか?」

 

 

といった息苦しい製図課題に、いい加減うんざりなあなたにこの記事を捧げたい。

 

 

 

 

建築学科の設計課題が遅れる理由

建築設計課題は通常

  1.  情報収集
  2. コンセプト決定
  3. 設計計画
  4. 図面作成
  5. 模型作成
  6. プレゼンボード作成

という流れで行われる。

 

 

重要なのは、徹夜しているのは後半3STEPだが、その徹夜の原因は前半3STEP、すなわち[情報収集][コンセプト決定][設計計画]にあるということだ。

 

 

図面・模型・パース作成といった工程は、いうなればテクニックの問題であり、技術を上げるかクオリティを落とせばいくらでも高速化が可能だ。

だから、問題は単純な高速化が難しい頭脳労働の3STEPにある。

 

前半の3STEPが際限なく長期化するせいで、後半の時間が取れなくなっていることが、あなたの課題が長引く原因である。

 

 

 

特に設計を学びたての1回生後期から3回生前期にかけてその傾向がつよい。

これについては、過去にも以下の記事でも取り上げた。

www.gakka-gokko.com

 

よって、いかにしてこの3つを短縮・省略できるかが、課題攻略の鍵と言えるだろう。

 

 

 

 

 

ではなぜ、[情報収集][コンセプト検討][設計計画]が長期化するのだろうか?

原因は3つ考えられる。

 

1つはこれらの作業にゴールがないこと。

情報収集にせよ、アイデアづくりにせよ、やろうと思えば無限に続けられる作業である。

だから、何かしらの区切りや止め時を自分で設定しておく必要がある。

 

 

もう1つは、次のSTEP以降が実際に形にするという困難な行為であること。

言うまでもなく、創作において0ベースから案を形にすることほど苦しいことはない。

特に学部生のころは空想を形に落とし込む回路が未発達なため、単なるアイデアを企画に押し上げる労力が大きい。

 

形にする作業が難易度の高い作業である分、相対的に手を動かす必要のない作業の難易度が低くなる。

結果、能力的理由からにこの工程に遅れが生じている。

 

 

 

3つ目の理由として、形にするということで評価の対象となることへの恐れがある。

すなわち、図面や模型にしなければ、頭の中の案を否定されることが無い、という逃避行動が課題の遅れの原因である。

精神的理由による遅れ、といってもいいかもしれない。

 

 

 

こうした複合的な理由から長期化しがちな前半3STEPに、われわれはどう対処すればいいのだろう?

もちろんトレーニングや訓練によりこうした障害を克服し、たちどころにアイデアを生み出しビジュアル化できるスーパー建築学科生を目指すのも1つの手段だろう。

 

当ブログにおいても、エスキス能力を磨く手法の考察として、「図面模写」を提案している。

www.gakka-gokko.com

既存の図面を繰り返し模写し、建築図面を文字通り体得することが、機能的かつ独創的な設計を効率的に生み出す手法である、というのが記事の主題だ。

まごうことなき正攻法な努力である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本記事では邪道外道を行く。

教授の評価や成績はひとまず無視し、「悩む」「考える」工程を極力省く、もしくは後回しにすることに注力する。

 

機械的に手を動かし、設計に悩む要素を最小化すること、その手法と意義の考察が、この記事の目的である。

 

 

 

 

 

 

設計課題を1週間で終わらせる5ステップ

具体的には以下の5STEPだ。

  • STEP1. 敷地を見に行く(1日)
  • STEP2. 敷地模型を作る(1-2日)
  • STEP3. 類似建築の収集・比較(1日)
  • STEP4. 即日設計(1-2日)
  • STEP5. プレゼンボード作成(1日)

 

 

 

STEP1.敷地を見に行く

建築学科学部生での課題では、たいてい敷地と機能が最初から指定されているので、ともかく現地視察から入る。

べつに何かを感じ取ったり、測量したり、観察する必要はない。

これは良い建築を作るためというよりも、現地に行っておかないと、

「地図上では敷地北側が表っぽく見えたけど、実際に敷地に行ってみるとどう考えても東側にエントランスを設けたほうがいい」

のようなとんでもない勘違い・ミスを避けるために行く側面が強い。

 

また、可能なら、プレゼンボード用や模型写真合成用の敷地周辺写真も撮影しておく。

 

STEP2.敷地模型を作る

敷地の下見を済ませたら、次は敷地模型の作成に取り掛かる。

 

建築学科では、敷地模型を提出直前の最後の仕事にしている人が多い。

が、むしろ敷地模型は敷地が決定した時点で作るのが合理的だ。

 

 

とりあえず敷地周辺の地図をダウンロードする。

地図のダウンロード方法は下記リンクを参照。

[リンク]

 

次に作る敷地模型の基本的な設定(縮尺・大きさ・範囲・等高線間隔・材料)を決める。

作成する模型の縮尺と範囲がきまったら、敷地図を印刷し、敷地模型を作る。

 

 

 

この工程で1日、傾斜のある土地や、周辺ビルが多い土地だと2日が目安となる。

 

 

STEP3.類似建築の収集・比較

STEP1,2と並行して、課題指定に類似した機能・規模・立地の施設図面を収集しておく。

類似設計事例が3-5例ほど集まったら、それらの平面図を、敷地模型の縮尺に揃えてコピーする。

例えば敷地模型を1/300で作っているのであれば、集めた図面も1/300になるようにスケールを調整して拡大・縮小コピーする。

 

その後、印刷した平面図はスタイロや厚紙でボリュームをもたせたあと、STEP2.でつくった敷地模型の中においてみる。

この工程により、頭の中の曖昧なイメージを具体的なスケール感を持って敷地内に落とし込むことがかなり容易になる。

 

 

この段階で1日。

合計3-4日目となる。

残り時間の半分で設計作業を終わらせる。

 

STEP4.即日設計

設計する。

世の中に溢れているようなありふれた設計で構わない。

集めた類似設計のパクリアレンジで構わない。

(というか、建築学科生が独創的と思っているアイデアやプランは、大抵先人の劣化コピーに過ぎない。)

 

アイデア大喜利・建築パズルのような設計プランを考えていては7日で課題を終わらせることなど到底不可能である。

 

 

建物の外観はシンプルな直方体とし、一級建築士の試験のように7m×7mのグリッドを引き、類似施設から大体の建築の規模を見積もり、エントランスの位置と動線の方向性を定め、すべての部屋を当てはめる。

 

面白みはないが、機能としては成立している建築を完成させる。

 

 

この作業で1-2日。

 

 

 

STEP5.プレゼンボード造り

設計に基づき、平面図と模型を作る。

模型写真・周辺地図と周辺写真・平面図・解説文を書き、一枚のボードにレイアウトして印刷する。

 

以上で完成である。

 

 

 

以上が7日で設計課題を終わらせる方法である。

言うまでもなく、こんな設計は教員からの受けが悪い。

このやり方で建築家になれるとも思えないし、こんな設計ばかりのポートフォリオではどこにも就職できないだろう。

 

なにより、課題に取り組んでいても楽しくない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やっぱり時間がかかってもいいから、課題のクオリティも評価も上げたい人へ

「こんなレベルの低い記事を読んで損した!時間の無駄だった!」

というクレームが嫌なので、設計職・建築家志望の学生を対象とした、上記の手法の応用も記す。

 

 

 

結論から言えば、以上の5STEPを、課題の最後の1週間ではなく最初の1週間で行えばいい。

すなわち、上記のノウハウを課題最初のベンチマーク(設計のたたき台)づくりに転用するのだ。

 

課題が出題されたら、まず最初の一週間で敷地模型と類似建築、ベンチマークの作成を済ませてしまう。

そして残った課題期間の全てを、その作品の改良・ブラッシュアップに費やせばいい。

 

 

最終提出で出したらがっかりされるような一週間クオリティの設計も、最初のエスキス会に提出すれば話は別だ。

最初の1週間で大雑把な設計を終わらせ、図面・模型・プレゼンボードを提出したあとで、改めて貴方なりの設計を進めれば、スピードとクオリティ双方が向上することができるだろう。

 

 

 

 

建築設計課題を7日間で終わらせる方法

というタイトルに、奇を衒ったつもりはない。

 

 

入学・入社・資格試験に際して即日設計が設けられているように、1日・1週間で設計することは必ずしも不可能なことではない。

逆に実社会の設計業務が年単位のスパンで行われることを考えれば、数ヶ月という課題期間も非常識なほど短期間での設計だ。

 

 

 

 

設計期間が長い短いという感覚は相対的なものだ。

実務設計でない限り、

「一週間で設計するのは短く、一ヶ月かけて設計するのは普通」

というのは、あなたの思い込みに過ぎない。

 

 

設計期間の長短の差異は、瞬発力・企画力・社会力・リサーチ力・基礎力・造形力など、課題を通じて何を学ぶかが異なるだけの違いである。

 だから少しでも多様な力を身につけるために、1日で設計する課題、1週間で設計する課題、数ヶ月かけて設計する課題、四年かけて設計する課題、という具合に、タイムリミットにバリエーションを持たせた課題に取り組むべきなのだ。

  

 

例えば、同じ敷地・同じ条件・同じ設定の課題でも、課題期間を1日にするか、1週間にするか、1ヶ月にするかで、そのアプローチは変わるだろう。

 設計期間が変わると、アイデアを出しそれを形にするアプローチも変更せざるを得ない。

故に

  • 自分の設計スタイルのボトルネックはどこか?
  • より設計を効率的にする余地はないか?
  • この課題で自分は何を学びたいのか?

と言った具合に、これまでの自分の課題への取り組みに対する見直しのきっかけを生む。

 

いろいろな長さで課題に取り組むことで、自分の長所と短所を分析し、不足している能力を開発できるのだ。

 

 

 

逆に言えば、同じような期間での課題を繰り返していると、特定の能力ばかりが伸び安く、逆にあるスキルに不足があったとしてもそれを自覚しにくくなる。

同じスパンの課題を繰り返していると、課題に対する取り組み方が固定化する。

 

 

 

 

 

しかし通常建築学科では、課題期間はほとんど一ヶ月から二ヶ月の長さに固定されている。

 

 

 

 

 

 

 

与えられた課題のスパンがあなたにとって最適な長さであれば問題はない。

しかし、そのスパンが必ずしもあなたに最適な設定とは限らない。

 

ここに、あなたの苦境の原因がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

課題の設計期間など一日であろうと、一週間であろうと、数ヶ月であろうと、現実の実務設計に比較すれば、等しく極端に短期間だ。

 

にもかかわらず、「7日間で設計するなんて非常識だ!」と感じたとすれば、それはあなたが、これまで与えられた課題条件を無批判に受け入れてきたことの証左なのかもしれない。

 

 

 

 

これはなにも提出期限にだけ当てはまる話ではないだろう。

 

対象敷地でも設計規模でも提出図書でも作品評価軸でも構わない。

どこか与えられた条件に囚われた課題の取り組み方をしていなかったか、ぜひ自己批判を重ねてみてほしい。

 

 

 

 

それだけで課題は、単なる負担から鍛錬になるのだから。

それだけで、他人に与えられた課題に振り回される学生生活を脱出できる第一歩を模索できるのだから。

それだけで、ワンパターン化したアイデアの出し方・固め方に、新しい視点を与えられるのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

「悩む・考える過程を極力省く」という当記事での具申は、その改善の一例である。

 

 

 

 

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